土 .3

Here comes the sun 
Here comes the sun, and I say
It's all right

 

太陽が昇る
ここに太陽が昇ってくる。僕は言うんだ
大丈夫だね!
The Beatles 『Here come the sun』

 

サウナに入った後で水風呂に浸かると脳の負荷が軽くなる気がする。

もやもやとした霧は隅々まで晴れ渡る。Beatlesの名曲『Here come the sun』はジョージハリスンがサウナへの愛と忠誠を歌った曲だ。あまりにも有名な話だ。

一度目の水風呂を済ませ縮み上がった短小ペニスを隠しながら再びサウナに戻る。

設置されているテレビモニターの向こうではSHINOBU SAKAGAMIが何かぼやいている。

僕はSAKAGAMIのコカインホワイトな歯列に注目する。金に物を言わせるが、残念ながらしかるべき教養がないので下品なインプラントにするしかないSAKAGAMI。

僕はこのインプラントオバケが天皇になったらどうなるんだろうと考える。一番白いインプラントを持つ者どうしが、互いに天皇の座を奪い合う。インプラント治療専門の歯科はそれに従ってどんどんどんどん潤っていく。経済が壊れたメリーゴーランドのようにグルグル回る。

僕は吹上御苑でアオカンする坂上陛下の御姿や、トヨタ・センチュリーの中でカーセックスする陛下の御様子を子細に想像させていただく。

次の天皇はコイツなんだろうなと僕は確信する。

再び水風呂へ行く。水風呂に入ると僕のペ・ニスは再び短小になる。ギリシャ彫刻が持つ短小ペ・ニスのように控えめかつ上品な知性の象徴としての実体を帯びていく。

 

ギリシャ彫刻と自分を重ね合わせながら水風呂に頭まで浸かっていくと、底におじさんが沈んでいることに気が付く。

「おじさん、なにしているんですか?」僕は水底でも礼儀を重んじるため深々とお辞儀してから質問する。

「見てのとおりです。身を清めております。私は不潔な人間ですからね。おじさんは不潔なのですよ。不潔だから何を言われても仕方ありません。身を清めているんです」

「おじさんって大変ですね。確かにあなたのお尻のおできと毛。かなりハードな様相を呈していますね。これは個人的な感想の域を出ませんが、かなりハードですね。」

「私は不潔な人間です。なのでこうして身を清めております。」

知らない人には関わってはいけないとおかあさんに言われているので、僕は水風呂の底からお暇させていただくことにした。おじさんは動かなくなっていた。

 

そろそろひょんなことから土にうまってしまったお父さんを出しに行こうかなと僕は思った。