土 .7
何日たったのだろう。2日くらいだろうか?よくわからなかった。
僕は縦横2mの四角い大きな箱に入っている。
*
「この中へ」
僕をリビングルームまで案内した女は手に持っていた黒いコットン製のシャツとテロテロとしたズボンを渡しリビングから消えていった。
言いたいことはたくさんあったが女の身長は110センチほどしかなく身長差からどうしても僕が彼女を見下すような恰好になってしまう。そのことで僕は居心地が悪かったので引き留めるのは止めにした。
部屋は夜の21時にもかかわらず、太陽の光に包まれていた。窓からは青空が見えた。
どうして僕は青空を見ているのだろう。夜の21時にもかかわらず空は真っ青だ。
ジェームズ・タレルの作品みたいな部屋だった。
僕は赤いリュックを部屋の隅に置いてある籠の中に入れた。服も脱いだ。きちんと畳んでそれも籠の中に入れた。
シャツを着た。続けてズボンを履こうとするとプラスチックのように固い紙が床に落ちた。ズボンに挟まっていたのだろうか。
白い紙には何も書いていなかった。僕は勘弁してほしいなと思った。
続けて目の前にある白い箱を観察した。膝から腰の高さに一カ所だけ取っ手が付いている。ここから入ればいいのだろうか。
ひょんなことから土に埋まってしまっているお父さんはいったいどこにいるのだろう。
どうして僕はわけのわからない部屋にいるのだろう。部屋には白い箱の他には煌々と陽光が差し込む窓しかない。他にはなにもない。選択肢はないのだろう。
僕は箱に入るためにしゃがみこんだ。